私自身、あまり頼れる親族などがいない状況で子育てをしながら働いてみて、今はまだ女性が社会でよい仕事をするには制度も意識も道半ばだなと実感します。周囲のアドバイスなどを聞いていると、働いていない元気な母親がそばにいたり、義両親が近くに住んでいたりと、ある意味で特権的な環境にない限りは仕事に没頭するのは難しいのだろうとつくづく感じます。何の身寄りもないシングルマザーであっても、興味のある仕事に没頭できる、少なくとも安心して仕事に邁進できる環境が整うことを切に願います。
男女がフェアであるべきという考え方も大事ですが、男女問わず仕事や家庭に対する姿勢が自由であるべきだと思うのです。子どもは血縁関係者が育てるのが一番という考えは、それはそれでいいのですが、そう思わない人は堂々と社会や他人を頼っていい。仕事に没入するのが好きな人はそうすればいいけれど、仕事はそこそこで、趣味や家庭に生きたいと思う人が引け目を感じる必要はない。家庭のことは家庭内ですべて済ませ、仕事は全力で、なんていう高度経済成長期のサラリーマン×専業主婦家庭のフツウを今の時代にあてはめるのは無理があります。多くの人がそう感じているとはいえ、そのフツウをどこかひきずっている気がするのです。
私は女だから、つい女性目線で考えてしまいますが、子どものことはなるべく人に頼って仕事に没頭したい女性も、仕事以外の場所に生きがいをもちたい女性も、条件の差があっていいので同じように組織にいられたらいい。もちろん男性もそうであってほしい。そのためには、隣のデスクの人と自分は仕事や家庭に対する考え方が違って当然という意識が共有されないと難しい気がします。自分は全身全霊で仕事をしていて、半身でこなしている人が同じ部屋にいるのは許せない、という空気が、多くの場合に多様性のネックになると思うからです。