鈴木涼美さん
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 作家・鈴木涼美さんの連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」。本日お越しいただいた、悩めるオンナは……。

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Q. 【vol.43】子育てしながら働くことの難しさに直面したワタシ(40代女性/ハンドルネーム「makirin」)

 雇止めにあってしまいました。子どもが一人おり、仕事の日は朝6時〜夜10時までほぼ休みがなく、いっぱいいっぱいでした。それでも仕事はしっかりしていたつもりですが、パートで立場の弱い私が切られました。会社は、建前上は弱い立場にいる人を支援していますが、すぐに従業員を切り捨てる組織でした。がんばって長く働ける仕事を探すしかないのですが、精神的に少し疲れてしまいました。

 それにしても、女性の場合は、一部の恵まれた環境にいる方々しか活躍できない社会なのではないかと思ってしまいます。主婦が力を抜いて、仕事も子育ても楽しむことを実現させるのはあまりにも難しい現状だと感じます。個人で努力を重ね、さらに運が良ければいい職場が見つかる……ではなく、組織のほうが多様な働き方を提示できるようになれば、多くの女性が肩の力を抜いて生活していけるのではないかと思います。涼美さんはいかがお考えになりますか?

A. 男女とも柔軟に働ける社会を願いつつ、ひとまず生きがいを別に

 ここで働こうという意思があるにもかかわらず、相手都合で職を失う経験はつらいですね。子どもがいる状況でも、できる限り尽くそうとしている者が簡単に切られるのであれば、何のための建前かとも思います。肉体的にも精神的にも疲れがたまっているのであれば、とにかく社会が用意する支援策を最大限使って少し休んでほしいです。社会を変えるのも復讐するのも、まずは自分の気力体力の回復を待ってからです。

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