ドジャースのロバーツ監督

「もっと周囲とコミュニケーションを」

 メジャーリーガーの代理人は「故障したのは仕方ない。佐々木はその過程での立ち振る舞いが良くなかった」と指摘する。

「以前から右肩に痛みを感じながら投げたことを明かしていました。チームに迷惑を掛けたくないと責任感の強さで我慢したのかもしれませんが、患部の状態が悪化する前にストップをかけるべきです。トレーナーやコーチに報告しないと信頼関係を築けない。ドジャースはメジャー屈指の医療体制が敷かれています。マウンドで最高のパフォーマンスを発揮するためにも、一人で抱え込まずにもっと周囲とコミュニケーションを取るべきです」

 佐々木はIL入り後の会見で、2登板前から痛みがあったことを明かすとともに、「けが人が多い中で僕も離脱してしまって、申し訳ないなという気持ちです」と語っている。チームの先発陣に故障者が多いため、佐々木は痛みがあるのに無理をして登板を続け、症状を悪化させた可能性がある。だが、これはメジャーでは美談ではなく、プロ意識がないとして信頼を失う行為だ。

 先発のコマ不足が深刻だったドジャースだが、光が差し込んできている。右肩の炎症で4月下旬に負傷者リスト入りしたタイラー・グラスノーはライブBP(実戦形式の投球練習)で登板し、後半戦での実戦復帰を目指している。サイ・ヤング賞を2度受賞するなど実績十分の左腕ブレイク・スネルは左肩炎症でIL入りしていたが、投球練習を再開した。昨年トミー・ジョン手術を受けた25歳右腕のエメット・シーハンは、6月18日のパドレス戦で1年9カ月ぶりにメジャーのマウンドに復帰した。そして大谷もいずれローテーションに入ってくるだろう。

 佐々木は焦らずコンディションを回復することが肝心だ。失った信頼を取り戻すには、マウンド上で結果を出すしかない。

(今川秀悟)

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