6月4日、キャッチボールで調整する佐々木。この後、ノースローに戻った(日刊スポーツ)

球速が出ないのも右肩の故障のせいか

 右肩インピンジメント症候群とはどのような症状か。プロ野球の元トレーナーが説明する。

「骨同士や軟骨、靱帯の衝突やこすれが原因で右肩に痛みが走るのですが、MRI検査では明確に損傷が確認されないことがあり、個々の投手によって症状は異なります。早期復帰できる場合があれば、いつまでも痛みが引かずに長期化するケースがある。佐々木はロッテ時代も右肩インピンジメント症候群を発症していたと聞きました。球速が出ない原因はこの故障が原因でしょう」

 佐々木はロッテ時代からケガでの離脱が多く、在籍5年間で一度も規定投球に到達したシーズンがない。メジャーで春先から先発ローテーション入りした際、「故障のリスクが高いのでは」と懸念した球界関係者は多く、今回のIL入りにも日本では「やっぱり」という反応が多い。

「ドジャースに必要なのか」

 だが、現地の反応は違う。米国メディアでは佐々木の争奪戦となった際、「直球が常時160キロを超える剛腕」、「大谷匹敵する逸材」などと大々的に報じられた。蓋を開けてみれば前半戦を終える前に期待外れの結果で戦列を離れたことに、批判の声が多い。

「日本の野球ファンが想像している以上に、佐々木への逆風は強まっています。ドジャースは注目度が高いチームなので、地元メディアやファンが求める水準が高い。SNS上では『佐々木は想像していた投手と違う。ドジャースに必要なのか』『いつまでも面倒を見られない。本来のパフォーマンスが発揮できないなら来年以降はトレード要員になる』などといった識者の書き込みが見られます」(前出のスポーツ紙記者)

 日本人投手がメジャー挑戦1年目で故障することは決して珍しくない。日本と米国でボールの大きさや滑りやすさが違うため、肩、肘に掛かる負担が大きい。山本由伸は移籍1年目の昨年、ポストシーズンの活躍でワールドチャンピオンの原動力になったが、シーズンは右肩痛で長期離脱し、投球回数が90イニングにとどまった。大谷も二刀流に挑戦したエンゼルス初年度の10年に右肘の内側側副靱帯を損傷し、登板は10試合で51回2/3にとどまった。

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