
集中力が途切れる
50歳からの転職や再就職を見据えた時に無視できない女性の健康課題の一つが、「更年期症状」の影響だ。
パーソル総合研究所が昨年発表した「更年期の仕事と健康に関する定量調査」によると、40~50代正社員女性の44.5%が軽度レベル以上の更年期症状を有し、1割弱が要長期治療レベルだった。
仕事の支障になる時間は、更年期症状がある日の1日あたりで平均すると、軽度レベルで4時間弱、要長期治療レベルで5時間強。「ホットフラッシュ(突然の発汗やほてりなど)で集中力が途切れる」「十分な睡眠が取れないことで日中の眠気や注意力の低下が生じる」などの症状があるという。
また、症状のレベルが高いほど、会社のために自ら進んで行動しようとする「自発的貢献意欲」や継続就業意向が低くなる一方、昇進辞退意向が高くなる傾向も浮かんだ。
「管理職ポストなどの転職相談でも、自身の体調への不安に言及するミドル女性は少なくありません」
こう打ち明けるのは、女性に特化した人材紹介サービスを手掛ける「Waris」(東京都千代田区)の田中美和共同代表だ。ミドル世代のキャリア女性が置かれた状況について自身の経験も振り返り、「多くの困難を抱え、選択を迫られる時期」だと話す。
「50歳前後は役職に登用される『キャリアの節目』の時期で、管理職は部下の育成などの役目も背負っています。その時期に自身の体調への不安に加え、育児や介護も重なり、幾重もの試練を抱えさせられているキャリア女性が少なくありません」
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2025年6月23日号より抜粋
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