
50歳から管理職ポストへの転職など、女性のキャリアの可能性が広がっている。一方でキャリアアップしたい気持ちはあるが年齢による体調の変化や、育児や介護など家族のケアが重なるなどミドル世代特有の様々なハードルも。AERA 2025年6月23日号より。
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「更年期で体力も落ち、新しい環境に身を置くのもしんどい。50代で転職なんてあり得ない、というのが実感です」
こう吐露するのは、40代でスタートアップに転職した50代女性だ。仕事とワンオペ育児に追われた30代は家事に加え、持ち帰り残業もこなす余力があった。しかし今は帰宅後、疲労感でへとへと。すぐ横になりたくなり、最低限の家事をするのがやっと。育児がひと段落ついて残業もしやすくなったのに、夜まで集中力が続かず仕事の効率が下がってしまうのももどかしい。
「物覚えが悪くなり業務でもミスが増え、マルチタスクをこなしにくくなっています。勤務時間外にパソコンや机に向かう気力がなく、日々の業務をこなすのに精一杯。リモートワークが廃止され、猛暑になるこれからの季節は特に体力面の不安が募ります」
女性は変化が激しいスタートアップ業界で、今の働き方を60代までさらに10年間続けるイメージが湧かず、「何らかの形で働き方を変えたい」と考えている。とはいえ、転職もハードルが高い、というのが正直な思いだという。
「新しい環境で再びゼロから信頼と実績を築くには、転職した40代のとき以上のパワーが必要ですが、今は無理せず現状維持で、と考えがちです。更年期の体力や気力の低下も相まって、育児と仕事を無理やり両立させるためにひたすら走り続けてきた反動で燃え尽きてしまったのかな、と思うこともあります」