
そしてブラジルの地で、佳子さまが着用した「カメリアワンピース」は、品のよい華やかなデザインもさることながら、その制作過程も注目された。
ビアッジョブルーのコンセプトは、質と高級感を保ちながらも、手の届きやすいAFFORDABLE LUXURY(手の届くラグジュアリー)。
越智さんによれば、このカメリアワンピースは、6万円を切る値段ながらも、布地の生産から縫製まで完全なる日本製である点への反響も大きかったという。

「生地は京都の染色会社に、生地の織布工程から幣ブランドデザイナーによるオリジナル図案の染色とプリントまでをお願いした、Viaggio Bluオリジナルです」
カメリアワンピースが「特別」なのは、国産という点だけではない。
実は、このワンピースは、「現代の名工」の指導よる「作品」なのだ。
ビアッジョブルーからの注文を受けたのは、洋服の仕立て職人である猿田由美子さん(77)だ。
由美子さんは、秋田市に衣料服の縫製工場を構える「(株)ほうこう」の専務として、いまは職人の指導に力を注いでいる。その技術の高さは、2020年に「現代の名工」に選ばれたことからもよくわかる。
さらに、24年には洋服仕立職で黄綬褒章を受章し、皇居・宮殿で天皇陛下に拝謁したばかりだった。
由美子さんが経営する「ほうこう」は、その技術の高さから国内外の高級ブランドの委託生産も数多く手がけてきた。
「他では縫えなかった。ぜひ、名工にお願いしたい」と、由美子さんを頼ってハイブランドの難しい仕立ての仕事が持ち込まれることも珍しくない。
「ほうこう」に、「カメリアワンピース」の委託生産の依頼が来たのは昨年のことだった。