
2つ目は、米国の通商政策が関税政策の枠を超え、ドル安誘導などの措置に踏み切るというもの。
「こうなると米国株、米国債、米ドルの信認が低下するとともに、米国の物価が大幅に上昇するでしょう。株価には悪影響となります」
悪いシナリオが「現実」となる確率は2割以下だそうで、長期的には心配しなくていいという。
GAFAMの明暗
米国の牽引役はアップルやマイクロソフト、アルファベット(グーグル)、メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)、アマゾン・ドット・コムなどのIT株。
楽天証券経済研究所チーフアナリストの今中能夫(やすお)さんはこれらの銘柄を常時ウォッチしている。
「メタ・プラットフォームズはあれだけの規模になっても広告収入主導で売上高が20%も拡大しました。
クライアントに広告媒体を自動制作する生成AIツールを無償配布し、うまくいっています。
アルファベットも売り上げの大半が広告。
アマゾン・ドット・コムはAI活用により物流を管理し、効率配送で生産性を高めています」
メタ・プラットフォームズ以上にAIを重視してきたマイクロソフトだが、明暗が分かれた。
「チャットGPTに巨額の資金を投じましたが、月20ドルからの有料コース利用者は増えてはいるものの、まだ全体の数%です。収益化に成功したとはいえない」
AIでやや出遅れたアップルも少々苦しい立場にあるようだ。
「あまりにiPhone頼みで、その伸びしろは限られます」
個別に浮き沈みはあるものの、「テクノロジーの分野で米国企業が世界のリーダーであり続ける公算は大きい」という点は、地口さんも今中さんも同意見だった。
つみたて投資を続けてOK!
取材・文/中島晶子(AERA編集部)、大西洋平
編集/綾小路麗香、伊藤忍
『AERA Money 2025夏号』から抜粋
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