ブラックロック・ジャパン チーフ・インベストメント・ストラテジストの地口祐一〈ちぐち・ゆういち〉さん(撮影・山本二葉/朝日新聞出版写真映像部)
ブラックロック・ジャパン チーフ・インベストメント・ストラテジストの地口祐一〈ちぐち・ゆういち〉さん(撮影・山本二葉/朝日新聞出版写真映像部)
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 ここ数年は特に好調だった米国の株価指数S&P500。トランプ大統領の再選後は過激な政策に市場が翻弄(ほんろう)されている。荒れ相場は一過性のものなのか、長く続くのか。米国株は大丈夫なのだろうか。ストラテジスト、アナリストに聞く。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】

【驚き】S&P500に「毎月1万円×20年」積み立てたらいくらになった?

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 新NISA元年(2024年)はほぼ順風満帆だっただけに、2025年の年初は「S&P500、年初一括360万円、完了しました!」などの元気な声がSNSに飛び交っていた。

 だが2月下旬からトランプ関税ショックとなり、マーケットは乱高下した。米国株の先行きが気になる。

 下の「『毎月1万円×20年』つみたてたらいくらになった?」のグラフは、1992年1月を起点にスタート時期を1年ずつずらしながら、毎月1万円ずつ20年間(入金合計240万円)のつみたて投資結果をシミュレーションしたものだ。

写真・図版(2枚目)| 「米国株は一生安泰か?」ブラックロック地口ストラテジストの見解/GAFAMの明暗【新NISA応援】

 S&P500、全世界株式(MSCI ACWI)、日本株式(TOPIX=東証株価指数)の資産推移をグラフにした。

 下部の240万円のラインを下回った部分は「元本割れ」を意味する。

 S&P500と全世界株式は、どの年からつみたて投資をはじめても、20年間は元本割れにならなかった。

 TOPIXはつみたて投資のスタート時期により「20年つみたてても最後は元本割れ」のケースがあった。

 直近20年間(2005年つみたて開始、2024年終了)の場合、S&P500はつみたて総額240万円が1540万円、全世界株式は1024万円。

 TOPIXは652万円。

 これまでのS&P500や全世界株式ほど大成功とならなくてもいいが、TOPIXの652万円くらいまで増えればうれしい。

 今後の米国株は大丈夫か。ブラックロック・ジャパンチーフ・インベストメント・ストラテジストの地口祐一さんに取材した。

株価の過熱感なし

「コンセンサスをベースにしたS&P500のフェアバリュー(妥当な株価水準)は予想PER(株価収益率)で18倍程度と判断しています。

2025年2月の急落前はPER24倍でした。これは2020年の予想PERのピーク時と同じ水準です。

『2020年のピーク時』とは、コロナ・ショック後に株価が急速に戻った局面です」

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