
全世界株式は47カ国・地域の約2500銘柄が投資対象で、その時々で強い国の株が多く組み入れられる仕組みだ。
この先、米国株が凋落(ちょうらく)したら、自然と他国の比率が高くなっていく。時価総額の規模に応じて国の比率も自動的に調整されるのである。
過去に米国がナンバーワンではなかった時代はあったのだろうか。ブラックロック・ジャパンプロダクト・ソリューション部ヴァイスプレジデントのリ・ササさんに取材した。
ブラックロックは、運用資産残高11.6兆ドル(約1728兆円、1ドル=149円換算/2025年3月31日現在)で世界一の運用会社である。
「1980年代後半は日本株が世界一だったこともありました(バブル崩壊直前)。
リーマン・ショックより前の2000年代は米国より新興国の株価上昇が勝っていた時期もありました。
当時は『BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)』という言葉が生まれ、急激な経済成長が期待されていたのです。その後は米国株一強となりました」
半々で買うと?
ここまで読んで、「やっぱり全世界株式」と思った人もいるだろう。先述のように「全世界」と言いつつ米国株約64%+他国の株も買う形なので、現状ナンバーワンのS&P500より期待リターンは低下する可能性はあるが、「平均点」は十分に狙える。
「S&P500のリターンも欲しいし、全世界株式の安心(?)も欲しい。だから半分ずつ買う」という人も意外に多い。それも悪くない。
ただ、S&P500と全世界株式の両方を買ったから「分散ばっちり」ではない。
全世界株式だけを買った場合と全世界株式とS&P500を半々で買った場合を比較すると、後者の米国株比率が8割程度に上昇するだけの話だ。
「全世界株式一択より米国リスクが高め、でもS&P500より米国リスクが低め」程度である。
さて米国株1本でいいのか、改めて考えてみよう。米国株は現状、世界ナンバーワンである。今後、米国以上にスターになりそうな国はリさんも本誌も明言できない(わかりません)。
全世界株式でいえば日本株が組み入れ2位だが、では日本が世界一になる可能性はと問われたら心もとない。
正直なところ、米国株がダメになったら「世界中がダメ」なわけで……。頭で考えたところで答えが出るわけはない。
S&P500だけでは不安で仕方がないのなら全世界株式にも投資してみるなり、もう少し他の資産を組み合わせるなり、「自分が納得するように買う」しかないだろう。