
米国株一辺倒の投資に怖さを覚える人に考えてほしいのは、リスクを取りすぎていないかということ。
自分の資産のうち、リスク資産に投じる金額が多すぎると「値下がりしたらどうしよう」「トランプのせいでこんなに下落」と気になりはじめるもの。
「まあ、半額になっても気長に待とう」と思えるぐらいの投資金額でないと、長期投資は続けづらい。
では、リスク分散のためS&P500や全世界株式とは別のインデックス型投資信託を組み合わせたいと思ったら、候補になるのはどのあたりだろうか。
「S&P500も全世界株式も、『株式』です。分散の意味で言うなら、金(ゴールド)は株式とは異なる資産といえます。
地政学リスクの高まりやインフレ進行などを受けて株式市場が不安定な状態に陥ると、金価格の上昇が顕著に表れる傾向があります」
昔から「有事の金」「守りの金」と言われてきた。先行き不透明になると、金を買う動きが活発化するのは見慣れた光景だ。なぜか。
「金」という実物の裏付けがあり、世界共通の価値が維持されやすいからだ。
物価上昇に金は連動する傾向が強い≒インフレにも強い。
S&P500、全世界株式、先進国株式、国内株式、金、米ドル/円の円建てリターン20年分を調べ、比較表を作った(本記事2ページ目上の表参照)。
すべての資産がマイナスだった年は20年間で2008年と2018年の2回。
これら6つの資産で年間リターン1位だった回数が、金は20年間で9回と一番優秀だった。次点がS&P500で6回。
20年の平均リターンはS&P500が15.6%、全世界株式が13.5%、金が12.7%。
20年のトータルで見るとS&P500が999%、全世界株式が642%、金が817%。金はリターン面で「地味に優秀」である。
興味深いのは、2019年以降、金とS&P500が交互に1位だったこと。