
パートナーの転勤や出産などで仕事を離れたり、夢をいったん諦めたりして専業主婦(主夫)として過ごす人は少なくありません。専業主婦から40歳で役者として活動を始めた堀田ヤスヨさん(55)にこれまでの歩みを伺いました。
* * *
小さい頃から芸能界で活躍するのが夢でした。22歳で大分から上京した後は下積み生活が長く続き、役者やモデルをしたり、ライブで音楽をやったり。付き人やスタイリストをしていた時期もあります。でも一花咲かせる前に、結婚や夫の茨城県への転勤、妊娠・出産で専業主婦にならざるを得ませんでした。30代の半ば頃までは、必死で子どもを育てていました。
でも、それも楽しかったんです。長男が幼稚園卒園のときの謝恩会ではつい本領を発揮して、お芝居の台本作りからダンスの振り付け、食事会の司会までやって盛り上げまくり、周りのお母さんたちにすごく喜ばれました。次男のときも「またやって」と頼まれて、卒業ビデオを担当し、撮影・編集・監督デビュー(笑)。夏祭りのMCにもスカウトされましたね。これまでやってきたことが、まさかここで役に立つとはと思いました。

地元で映画撮影、オーディションに応募したら…
長男の就学前、たまたま地元で撮影する映画「桜田門外ノ変」のオーディションがあったんです。周りのママたちはエキストラに応募していましたが、私は役者募集の枠に応募しました。そうしたら合格して、セリフをいただきワンシーンを演じられることになったんです。映画のクレジットに自分の名前が載るのがずっと夢だったんですが、その夢が叶ってしまった。撮影のとき、俳優の渡辺裕之さんに「39歳なの? 若いじゃん。役者なんて、これからだよ!」と励ましていただいたこともあり、ちょっと欲が出てきて、役者として仕事を再開するきっかけになりました。40歳になった頃のことです。
以来、再現VTRやCMのオーディションなど、お声かけいただいたものを、ただただ続けてきた。そうしたらいつの間にか、TVドラマやCMなどの大きな仕事もいただくようになっていました。嬉しかったですね。