
時代に合わない「不適切さ」が若者の心をつかむ?
泉ピン子といえば、1980年代の伝説的な朝ドラ「おしん」や20年以上続いた橋田壽賀子ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」(TBS系)などで知られる国民的女優。10代で漫談家としてデビュー、キャバレーのドサ回りから成り上がったことはあまりに有名だ。
「若手の頃は下積み仲間だった西田敏行さんとともに、共演した大物俳優に食事をねだることもあったといいます。そんな時に舞い込んだのが、転機となったバラエティー番組『テレビ三面記事 ウィークエンダー』への出演。歯に衣(きぬ)着せぬコメントで、賛否を巻き起こし、『ワーストタレント』の1位に選ばれたこともあったとか。しかし、非難の声をものともせず、芸能活動に邁進する姿勢は、厳しい下積みを乗り越えて培われたものでしょう。『おしん』『渡鬼』と代表作に恵まれた頃も、数億円もの借金が発覚。返済のために出演を決めたクイズ番組『ぴったんこカン・カン』でコメディエンヌとしての才能を開花させました」(テレビ情報誌の編集者)
だが、ピンチは借金だけに留まらなかった。夫の隠し子騒動では涙ながらに「許します」と記者会見したことが逆に「イメージアップを狙った」と勘ぐられ、ワイドショーなどで大バッシングの嵐が巻き起こる。さらにその後も「渡鬼」での“共演者いじめ”が週刊誌等で報じられ、2011年に同ドラマが終了してからは徐々にテレビからフェードアウト。近年では橋田さんの逝去にともない、葬儀や遺骨をめぐって橋田さん側の財団とトラブルになっていることが報じられた。
「こうしたなか、今春に自身の生きざまをつづったエッセー『終活や~めた。 元祖バッシング女王の“ピンチを福に転じる”思考法』を出版しました。出版トークショーでは、司会進行を無視してまで、将来に悩むファンからの相談に親身になって応え、厳しくも優しいアドバイスをしたといい、心を打たれたファンもいたようです。最近のテレビ出演でも、思い浮かんだことをそのまま話す瞬発力が評価されていて、『サン!シャイン』での奔放すぎる発言では、番組を引っかき回したピン子に対し『自由過ぎて逆にいい』などと好意的に受け止めるユーザーも少なくありませんでした。ドラマ『ふてほど』のように、一部の若者の間でも昭和・平成初期のイケイケ・ムードが再評価される傾向もある昨今、コンプラ度外視&マイペースな発言を繰り返すピン子さんの起用が今後増える可能性もあります」(前出の女性週刊誌の記者)