自らも不倫スキャンダルで聴衆に頭を下げていた玉木代表(2024年11月11日)=日刊スポーツ

出馬辞退の理由も聞かれなかった

 その間に、国民民主の平岩征樹衆院議員(比例近畿)が偽名や偽った職業を使って不倫していた不祥事が発覚し、平岩議員は離党。さらに、山尾氏の公認が決まった。

「山尾氏の不倫疑惑の相手の元妻が自殺したという報道がありました。しかし、山尾氏は今までそれに関してまともに説明も釈明もしていません。そういう人物を国民民主党が擁立するということで、不信感が募りました。光り輝く国民民主党と思っていたが、結局は昔の旧民主党と同じじゃないかと」

 川崎氏は国民民主党の組織力にも不安を募らせたという。

「国民民主党の公募に応募し、その後面接をしたのですが、最初の打ち合わせの場所は私の弁護士事務所。そこで大阪の責任者という方から名刺をもらったのですが、携帯電話の番号だけで、どうも大阪にはしかるべき拠点がないことがわかった。2回目は大阪での面接で、行ったのは赤十字会館内にある国民民主党支持の組合関係の事務所。とても政権を担える党じゃないことが見えてきました」 

 山尾氏らの擁立が発表された直後、川崎氏は出馬辞退を決め、浜野氏にスマホのSMSで、

〈遺憾ではありますが、御党からの全国比例での出馬を辞退させて頂きたく存じます。なお、追って本日付の書状にて詳細をご連絡させていただきます〉

 と送信したところ、

〈了解致しました。党本部宛に送付下さい。浜野〉

 というメッセージが返ってきただけで、何も聞かれなかったという。

「弁護士の仕事も新規の案件は断って選挙に専念してきた。それなのに、辞退の理由も聞かれず、1行ほどのメッセージで終わり。まあ、そういう党なんでしょうね」

 川崎氏はあきれた様子だった。

 その後、山尾氏は6月4日に自身のSNSで、出馬に向けた記者会見を開くことを発表した。また、大阪選挙区から女性医師が出馬会見を予定している。

「政権与党に入るには危機管理が不十分」

 政治評論家の田村重信氏はこう指摘する。

「山尾氏の擁立が、国民民主党の大失敗。高止まりしていた支持率が急降下しました。これを参院選までに支持を戻すのは至難の業です。選挙前にこれだけ、スキャンダルが出るのは政権与党に入るには危機管理が不十分で、経験があまりに足りないという見方が自民党では強い。国民民主党の人気はもって東京都議選くらいかな。参院選ではそう大きくは勝てないでしょう」

 玉木氏が内閣不信任案の提出をせかすのも、国民民主のボロがこれ以上出る前に、急いで選挙をしたい思いがあるのだろう。

(編集部・今西憲之)

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