スタッフのりせともよさんとまるもももかさん(左)。もともと会社員だったまるもさんは、キッチンからスタッフデビュー。1年でTikTokのフォロワー10万人を突破したことで、カウンターで働くようになった(撮影/写真映像部・山本二葉)
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 JR原宿駅竹下口から徒歩約1分。カラフルな街の中でもひと際目を引く空間に今、多くの子どもたちが虜になっている。

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 目の前に広がるピンク色の世界。その色味はビビッドなものからシャーベットのような柔らかいものまで幅広く、一歩踏み出すたびに心が躍る。鮮やかな店内に所狭しと並ぶのは、ハートマークのロリポップキャンディやマスコット人形たち。ここは東京・原宿にあるタピオカ専門店「ベビタピトーキョー」の一角だ。

 ベビタピは2019年、大阪アメリカ村で誕生した。若者に人気のTikTokクリエーターが中心となって経営し、オープンまもなく「JC・JK流行語大賞」に「べびたっぴ」がランクイン。21年の東京出店時に「原宿系クリエーター」のしなこさんが店長に就任したことで、さらに人気に火がついた。

店内ではさまざまなグッズが販売されている。店長のしなこさんのうちわも(撮影/写真映像部・山本二葉)

まるでアトラクション

 しなこさんを筆頭に、SNSを駆使するインフルエンサーたちがスタッフを務めるベビタピは連日大行列。特に休日や夏休みの勢いはすさまじく、ファストパスがすぐになくなることもあるという。どのスタッフが出勤するかは直前までわからないが、不在時にも存在を感じ取れるように直筆の手紙や写真を壁に掲示したりと、いつ訪れても楽しめる空間がつくられている。

 そんなかわいらしい雑貨や展示を眺めながら店内を歩けば、券売機に到着。メニュー画面にはタピオカドリンクやモンブランなど約18種類が表示される。このあたりのスイーツといえば茶色や白といったシンプルな色合いのイメージが強いが、ベビタピは違う。ピンクに黄色に青に緑、なかには原色に近いものまで、とにかくカラフルなのだ。

(撮影/写真映像部・山本二葉)

 注文を終え、階段を下りると明るい声が聞こえてきた。

「せ~の、べびたっぴ♪」

 リズミカルな掛け声にあわせて、これまた色とりどりの衣装に身を包んだスタッフがドリンクにストローを刺す。しゃぼん玉のように膨らんだ泡がはじけ、白い煙がもくもくと広がる。その様子を眺めていた子どもたちから歓声が上がる。なんだか、遊園地のアトラクションに参加したような気持ちになる。

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