店内ではさまざまなグッズが販売されている。店長のしなこさんのうちわも(撮影/写真映像部・山本二葉)

 一度店がオープンすれば、子どもたちやその保護者が次々と店のなかに入っていく。この日カウンターに立っていたのは、まるもももかさんとりせともよさん。二人ともフォロワー10万人超の人気インフルエンサーで、子どもたちにとっては「憧れのお姉さん」でもある。

見た目と味と食感と

 普段はSNSを通したオンラインでつながるファンとインフルエンサーの関係。だが、ベビタピ出勤時は違う。興奮して跳びはねる子もいれば、緊張した面持ちで手紙を渡す子もいる。「今日が誕生日」と聞けば、スイーツを提供するだけでなく、一緒にバースデーソングを歌ったりすることもある。対面だからこその交流が生まれている。りせともよさんは言う。

「普通のタピオカ屋じゃなくて、お客さまの時間に対する価値を大切にしている場所。だからこそ、子どもたちだけじゃなくて、親御さんたちにもいい思い出になってほしいし、家に帰ったときにベビタピや原宿が楽しい場所だったと思える体験をつくりたいという気持ちで働いています」

(撮影/写真映像部・山本二葉)

 体験の価値は、スタッフとの交流が終わったあとも続く。提供される派手なドリンクやスイーツは、なじみのない大人にとっては、一見すると毒々しい、不思議な食べ物に映るかもしれない。だが、一口食べれば優しい甘さと、しゃりしゃりした食感が口に広がっていく。見た目と味と食感の三つが合わさったスイーツは大人でもわくわくするのだから、子どもたちが夢中になるのもよくわかる。

 以前期間限定でオープンしていた福岡の店舗を訪れたことがあるという女性は、「東京旅行でも絶対に行きたい」と13歳と10歳の娘たちから懇願され、夫とともに家族4人でベビタピトーキョーデビューを果たした。「店内に広がるグッズやサインを見た子どもたちの目がキラキラしていた」と話す。

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