大阪市建設局が関係者に送った通知の一部

「バスが気づいてくれてよかった」

 担当の市建設局に話を聞いた。

「逆走が約2キロ続いたのは事実です。タクシーが間違えて反対車線に入ったと思われるところには分離帯がなかったので、カラーコーンを置いて逆走を防ぐ措置を講じました。タクシーはお客さんを乗せていたようです。バスが気づいてくれたので事故にならずよかった」

 冒頭のタクシー運転手Aさんも、アクセス道路を使って数回、万博に客を運んだことがあるという。

「アクセス道路は許可された車以外は入れないので、入るまでにチェックのため2度、停車させられます。普段は通行できないアクセス道路ですから、タクシードライバーでも通ることはあまりなく、慣れていなかったことが原因でしょう。それと、アクセス道路は片側1車線ですが、高速道路なので2車線あると勘違いしたのではないでしょうか」

仮オープンのアクセス道路を通って新大阪駅と万博会場をつなぐシャトルバス(画像の一部を加工しています)

カーブだったら大事故になった?

 実際に、このアクセス道路を運行するバスに乗ってみた。

 阪急観光バスが新大阪駅からアクセス道路を経由して万博に行くシャトルバスを運行している。1日2本は「自動運転バス」を導入しているというので、スマートフォンで予約を入れ、自動運転バスの発車時刻に新大阪駅のバス停に行ったが、この日は故障中で、仕方なく通常のバスに乗りこんだ。

 新御堂筋をへて豊崎ICからアクセス道路に入ると、まだ工事が続いており、「仮」であることがよくわかる。本線に入ろうとするとき、中央分離帯の一部にカラーコーンが置かれていた。どうやら、ここからタクシーは反対車線に入り込み、逆走したようだ。

 仮オープン区間は工事が完成するとコンクリートで覆われたトンネル部分になるが、まだトンネルができているのは一部だけだった。バスは60キロほどのスピードでアクセス道路を走ってゆく。ほぼ直線の道路が続くため、逆走してくるタクシーに、バスの運転手は比較的早く気付いたのだろう。カーブなどで見通しが悪かったなら、大事故につながったのではないだろうか。

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