「管理会社への管理委託費は人件費の高騰を受けて増額傾向にあります。しかし管理組合側が値上げを承認せず、管理会社のほうから『管理委託契約の更新を辞退する』と通告するケースが増えています。管理会社は組合の会計業務も請け負っているのが一般的なので、その組合の財政状況を認識したうえで、『契約を続けても採算が合わなくなる』と見切りをつけるわけです」
空気が一気に悪くなった
神奈川県のマンションで組合理事を務めた50代男性も次のように話す。
「一昨年、契約する管理会社からの委託管理費の増額要請を組合が拒否したところ、一方的に契約解除を通告されてしまいました。すぐに新たな管理会社を公募したのですが、提示された委託管理費はそれまでの3割以上も高かった。結局、住民から徴収する管理費の値上げを余儀なくされたため、当時、増額反対を主導した住民や理事に対する反発も強まり、マンション内の空気が一気に悪くなった」
“カスハラ対策“も背景にあるという。
「毎日のように他の住人や管理に対するクレームを入れるようなモンスター住民がいると、管理スタッフの負担が大きすぎるので契約解除を言い渡す管理会社が増えました」(山本さん)
(ジャーナリスト・田茂井治)
