「住人の説得を試みましたが、『2倍にとどめられないか?』『老い先短いので値上げは勘弁してほしい』など反発はすさまじかったです。結局、臨時総会では4分の3の賛成票が得られて無事、値上げが実施されたのですが……反対票もあってギリギリの票差でした」(同)
実は、値上げで最も大きな負担を強いられたのは、竹中さんだった。そのマンションの多くは3LDKの間取りだが、竹中さんの所有物件はより広い間取りの4LDK。占有面積の広さから、月々の修繕積立金は9万円に達したという。だが、「3倍に値上げしても金銭面の問題は完全に解消されていない」と話す。
「インフレの影響が大きすぎます。各戸のインターホンも交換時期を過ぎて、私の家も映像が表示されない不具合が生じているのですが、半導体不足の影響で交換にかかる費用負担が上がり続けているんです」(同)
「放置されています」
タワマンは管理室のほかにセキュリティー強化の一環で警備室が設置されており、その警備室との光回線の入れ替えなども同時に行う必要があるため、全戸のインターホンの入れ替えを行うとそれだけで数千万円かかるという。
「内廊下には百数台のエアコンが設置されているのですが、これもすべて入れ替えるには数千万円かかる。さらに、このエアコンなど共用部にかかる電気代が円安に伴うエネルギー価格の高騰でとんでもない金額になっている……。うちの管理組合が支払う電気代はここ数年で倍に跳ね上がり、月に約500万円にもなっているんです。管理費の値上げも避けられない状況なのですが、『円安がおさまれば問題は解消される』と楽観視する人が多くて、放置されています」(同)
お金のからむトラブルは住人間でのみ発生するわけではない。近年は、組合と管理会社とのトラブルも多発している。マンション管理コンサルティング大手さくら事務所の山本直彌氏が話す。