「情報や考え方に触れて、それに対してどう思ったとか、自分なりの反証の仕方とかを論理的に書いてほしいという意図を伝えきれていないな、というのも同時に感じています。こちらも学生にとって柔軟性を持った授業にしなければならないのかもしれない、とも考えています」
「大学側も時代に合わせて」
本を読むことを敬遠する若者たちについて、若者研究の第一人者であり、Z世代のトレンドを追い続けてきた芝浦工業大学デザイン工学部教授の原田曜平さんは、人生のなかで「動画」に長く触れてきた世代だと見る。
「2時間の文章を読むよりも、3分で便利に、快適に情報を得たり、物語をより分かりやすく収集したりすることが染み込んでいる。小学生の時に読書の時間があっても、中学・高校や受験で本を読むことはなく、大学でいきなり課題図書と言われて、嫌悪感を示す若者がいるのもわかります」
そして原田さんは、大学側も時代に合わせた講義のあり方を考える必要があると指摘する。
「大学側も保護者の目を意識して、宿題を出したり、出席をしっかり取ったりと厳しくなっています。でも、大学を就職へのステップととらえている学生が大半なので、大学の本質的な役割は、昔とさほど変わりません。例えば、私の研究室では、企業のPR投稿画像の作成を考える授業などがあります。どこの企業に入ってもSNS 活用がある時代なので、学生も楽しみながら学んでいる。文章を読むというインプットがなく、文章が書けなくなっている子たちに、今していることが未来につながっていることを実感させるような教え方が必要だと思います」
(AERA編集部・小山歩)
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