大学にストレートに入り、就職してほしい。そんな親の期待に応えられず、浪人して入った大学だった。

 バイトや留学、インターンなど、学生の間にやりたいことがたくさんあった。大学の講義を軽視するわけではないが、とにかく労力をかけずに単位を取って、余った時間にできる限りの体験をしたいと思っていたという。

「本を読まないでよさそうな講義など、とにかく楽そうな、いわゆる『ラク単』の講義を選びました。どうしても取らなければいけない必修の講義などは、なるべく後ろに座って、終わったらさっさと帰れるよう支度していましたね」

 優先したひとつが、「就職活動」だった。

 いち早く内定を得るため、大学2年生のときに半年間にわたる企業の長期インターンに参加した。参加者のなかには、他大学の1年生もいたという。

 そのおかげもあってか、希望の大手メーカーから3年次の6月に「内々定」をもらい、来春から就職予定だという。
 

教授は「がっかり」…でも

「タイパ」を求める学生たちに、教える側はどう向き合うか。

 冒頭の教授は学生たちについて、こう振り返る。

「私が推薦図書を出している意図は、レポートに関する情報の集め方を提示するところにあります。見る方法は自由だし、読むこと自体のパフォーマンスが悪いというのは、わからない話ではありません」

 学生の考え方について理解はするものの、「正直、がっかりはしました」と苦笑する。

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