フジロックを主催するスマッシュの代表・佐潟敏博氏

円安で洋楽ブッキングが困難に それでも攻める理由

――経済状況の変化、特に円安の影響も大きいですよね。フジロックに限らず、洋楽アーティストのチケット代は軒並みが上っているので。

 円安はヤバいです。レッチリ、オアシスみたいに誰もが知っているアーティストを呼ぶのが難しくなっているのは事実だし、そこは苦労しているところですね。ただ、それを逆手に取ることもできると思っているんです。VULFPECK(7/26のヘッドライナー)はまさにそうで。日本ではまだそれほど知られていませんが、とてもクオリティが高いアーティストなので、ぜひフジロックのお客さんに見てほしいなと。

――それは「フジロックの観客なら、このアーティストを楽しんでくれるはず」という信頼でもある?

 それがないとヘッドライナーには置けないですし、こちらとしては勝負している部分もあります。たとえば2013年にケンドリック・ラマ―をホワイトステージ(2番目に大きいステージ)のトリ前にしたんですけど、その時点ではそこまで知名度はなかったんですよ。みなさんが知らないアーティストを紹介するのもフジロックの大きな魅力だし、それは今年のブッキングにも表れていると思います。バランスが取れたラインナップだと思いますし、今年のフジロックは一つのモデルケースになるんじゃないかなと。ただ、このやり方だけだとお客さんも飽きると思うんで、来年以降はビックアーティストも狙っていきたいですけどね。

――最近は「若者の洋楽離れ」が言われていますが、その影響についてはどう捉えていますか?

 いろいろな要因があると思いますね。日本の若いバンドも、洋楽ではなくて日本のバンドを聴いて音楽を始めたという人たちが増えていますし、リスナーも国内のバンドに興味が向いているのかなと。ただ“洋楽離れ”についてはそこまで気にしてないんですよ。さっきも言ったようにいろいろな音楽を紹介するのもフジロックの目的の一つだし、「このバンド、知らないでしょ? 聴いてみて」という意識もあるので。

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