会見する兵庫県の斎藤知事
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 兵庫県の斎藤元彦知事らを内部告発した元県民局長のプライベート情報が漏洩した問題で、県の第三者委員会は5月27日、元総務部長が県会議員に情報を漏洩し、その漏洩は斎藤知事や片山安孝元副知事の「指示のもとに行われた可能性が高い」と結論づけた報告書を公表した。斎藤知事が自らの問題を告発した部下を、組織的におとしめようとした疑いが出ている。

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 元県民局長は昨年3月、斎藤知事や片山副知事(当時)らのパワハラや「おねだり」などの疑惑を内部告発した。これを知った斎藤知事の指示で告発文の作成者特定の調査が始まり、元県民局長の公用パソコンのデータが調べられ、告発者だと特定され懲戒処分された。その際、パソコンからは、私的な文書も見つかった。この私的文書の内容がその後、県会議員らに漏れ、同一と思われる内容が「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏によって拡散された。この私的文書の内容について斎藤知事は、今年3月の記者会見で「わいせつな文書」と話している。

 第三者委員会の報告書は、私的文書の内容を少なくとも県議3人に漏らしたのは井ノ本知明・前総務部長だと認定し、漏らした理由についてこう記す。

「知事からの指示及びこれと同調する元副知事の指示により、元県民局長の私的情報について、議会の会派の『根回し』の趣旨で情報開示(漏えい)を行った可能性が高い」

 また、報告書によると、井ノ本氏は県議に情報漏洩をする際、

「こんな人間が作った文書信用できるわけないやろ」

 などと話していた。報告書は、これを聞いた県議らは情報漏洩の動機について、

「『元県民局長の私的情報を暴露することにより、その人格ないし人間性に疑問を抱かせ、ひいては告発文書の信用性を弾劾する点にあった』と捉えている」

 と記す。つまり、斎藤知事や片山元副知事が、内部告発した元県民局長の信用性を失わせ、自らの疑惑の告発もウソだと思わせようとして、井ノ本氏に情報漏洩させた可能性が高い、と指摘するのだ。

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