北川健太郎被告

証拠改ざん事件に匹敵する不祥事

 大阪地検は、2010年の厚生労働省幹部の村木厚子さんのえん罪事件で、特捜部が証拠を改ざんする大スキャンダルを起こしている。元特捜部長らが逮捕され、検事総長の辞職にもつながった。北川被告はその「大阪事件」を例に挙げて、こうも記す。

〈大阪事件に匹敵する不尚事(ママ)であり組織として立ちゆかなくなります〉

 検事総長の辞職に値するほどの不祥事を起こしたと自分で認めているわけだ。

 そして、金銭での解決を提案している。

〈加害者の身でありながら身勝手で申し上げにくいわけですが、弁護士を依頼して金銭賠償ということで交渉させていただけないでしょうか〉

 また、事件当日、北川被告は女性検事と同様に泥酔していたと説明し、その原因について、

〈焼酎の水割を担当した事務官も酔っていたため、途中から水を入れずに酒を作っていたからです〉

 と責任を転嫁するような記述もある。

〈これでおまえも俺の女だと言った〉

 その後、タクシーに乗り込んだ記憶や、女性検事を官舎に連れ込んだ記憶はないと記し、こう続ける。

〈私が覚えているのはあなたと同様で性交の途中からなのです〉

〈これでおまえも俺の女だと言ったことは記憶しています〉

〈いったん下着をつけたあなたの下着をまた脱がせて、その後また性交したことは覚えています〉

〈翌朝起きてしばらくたってから、改めてあなたと性交したことを思い出しました。とんでもないことをしてしまったと呆然としました〉

〈これまで複数人の女性と関係を持った〉

 北川被告は、被害感情をやわらげようとするためか、部下でかなり年齢も離れている女性検事に対して、こう記している。

〈私にとって、あなたは特別の存在、はっきり言うと恋愛の対象でした〉

 だがその一方で、女性検事から「ほかにも同じことをしていないか」と「余罪」を問われていたことに答えて、

〈私がこれまでに複数人の女性と関係を持ったことがあったことは事実です。飲酒の上のものもあります〉

〈しかしいずれの場合も、それまでに人間関係ができており、好意をもっていることを双方が確認した上でのことです〉

〈ですからあなたと同じような被害者はいないと明言できます。今まで今回のような失敗をしたことは本当にありません〉

 などと、複数の女性と関係を持ってきたことを明かしているのだ。女性検事に対して「特別な存在」と記したのは詭弁としか思えないし、ほかにも泣き寝入りしている被害者がいる疑いが出てくる。ちなみに北川被告は妻帯者だ。

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