
「過去でも未来でもなく、大事なのは“今”この瞬間」――102歳で現役、美容部員・堀野智子さんが語る人生のモットーとは? 華やかな現場で長年活躍してきた堀野さんの原動力は、「目の前のことに夢中になる力」。編み物や簿記、和裁まで、女学校時代に身につけた“生活の技術”を武器に、家族を支え、仕事を続けてきました。
どんな時代の変化にも前向きに対応してきた堀野さんが、大切にしてきた生き方の哲学。102年間を通してたどり着いた「現実的に、今を楽しむ」姿勢に、人生を軽やかにするヒントが詰まっています。堀野さんの最新刊『102歳、今より元気に美しく』(朝日新聞出版)から一部を抜粋・加筆再編集して公開します。
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――堀野さんが、102年間生きてきた中で大切にしているモットーはありますか。そうした考え方をするようになったきっかけとともに教えていただきたいです。
昔のことはよく覚えていますが、過去にとらわれるという感覚がありません。
多分、人間が現実的にできているのだと思います。過ぎてしまったことや、これから起こるかもしれないことに思いをめぐらせるよりも、今この時をどうやって楽しく過ごそうかということに頭がいってしまうんです。
現実的なのは子どものころからで、進学するときも勉強ができる人が行く学校よりも、実用的なことを身に付けられる学校を選びました。
私の子ども時代は今とは学校制度が違っていて、小学校卒業後に進学する人はあまり多くありませんでした。男女別学で、受験をして男子は旧制中学校、女子は女学校に進学しました。
わが家は父が「人にとって教育は大切」と考える人だったので、ありがたいことに私も進学させてもらえたんです。
女学校ではたくさんのことを学ぶことができ、とても楽しかったです。新しいことを覚えるのが大好きなので、「今日はどんなことを教えてもらえるんだろう」とワクワクしながら通っていました。
生涯の趣味になった編み物と出会ったのも女学校時代です。他にも和裁や洋裁、刺繡、さらには簿記など、生活に役立つことをたくさん教わりました。
大げさでなく私の人生は、ここで学んだことをフル活用してきたようなものです。