山尾志桜里氏(2021年撮影)

 多くの女性は国民民主党が好きではないらしい。それが玉木さんの不倫報道に始まったことなのかどうかは不明だが、「手取りを増やす」と“国民”に寄り添うことは言うが、妻に寄り添わなかった姿勢や、選択的夫婦別姓を公約に掲げて選挙に出ながら、いざその局面になると及び腰になるような姿勢が、なんだよっ!と女性をいらつかせるのかもしれない。 

 だいたい国民民主党にとって大勝負である夏の選挙に向けて、不倫のイメージが残っている山尾さんを目玉候補者にあげる感覚も、女性有権者の気持ちなどどうでもよいと考えているように見えてしまう。玉木さんの誤算は、多くの男も山尾さんが嫌い、ということだろう。

 この国で有権者をやっていると、政治家に「相手にされていない」感をしばし味わう。

 投票者数だけでいえば女性のほうが多い。近年の国政選挙でいえば女性は男性よりも100万人以上多く投票している。女性は政治に期待し、真面目に投票しているのだ。それでも、候補者として選ばれる人は、ほとんど男性だ。候補者を選ぶのがそもそもエラい立ち場の男性政治家であることも、女性が候補者なるチケットをそもそも手にいれることが難しい理由のひとつだろう。たとえ「ジェンダー平等」を掲げるリベラルな政党であっても、女性の人権のために働いてきた熟練のおばさまが新人として選ばれることは稀で、ニッコリとフレッシュに微笑む清潔さがウリの女性の新人が目立つ。保守であれば、強面に“恥を知れ“と国防を男以上に勇ましく語る女性候補者だったりする。もうね、フツーに隣にいないような女性たちなのです。

 有権者は候補者を選べない。だから、ほぼオジサンばかりの政党が選ぶ候補者の中から鼻をつまみながら、よりマシなものを選ぶことしかできない。そして「よりベターなもの」を選ぶのが選挙である、と思っている。

 でも、本当にそうなのだろうか。

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