
作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回はこの国の政治について。
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山尾志桜里さんが国民民主党の正式な候補者になると発表され、そのことで国民民主党の支持率が落ちているという。山尾さんだけが原因ではないだろうが、玉木雄一郎代表のXのフォロワーが4日で5000人減るほどの勢いだ。
意外である。
山尾さんはそもそも今の国民民主党結党のメンバーだ。そして、言葉を選ばずに言えば、どこか“女玉木”と言いたくなるほどに玉木さんと似ているように私には見える。
同じ大学(東京大学)出身ということだけでない。2人の持つその言葉の強さ、その目力の強さ、スター性(一時期の山尾さんの人気は大変なものだった)、政治状況にインパクトを与えるほどの不倫報道後も動じない威風堂々な姿勢、いろんな面で2人は似ている。
そういう意味で、大丈夫よ! 山尾さんが入ったところで、国民民主党はきっと変わらないよ! と国民民主党の支持者に言ってあげたい気持ちだ。
とはいえ、きっと、国民民主党の支持者は“女玉木”など求めていないのだろう。玉木さんには「不倫報道などなかったことにしてあげている」(ように見える)寛容は、女の山尾さんには適用されないということなのか。
夏の参議院選挙に向けて、じわじわと政治を巡る空気が動き始めている。
5月に行われたNHKの世論調査で政党別支持率を見ると、年代別での支持政党の違いは大きいが(50代以上は自民党支持者が多数派だが、10〜30代は国民民主党の支持率が一番高い)、男女別の支持率を見ると、あからさまに国民民主党は女性に人気がない。男性の約11%が国民民主党を支持しているというのに、女性で支持している人はたったの約2%なのだ。それは立憲民主党の女性支持率6%よりずっと低く、国民民主党の男女の支持率ギャップは、自民、立憲、維新、公明、共産の各党と比べものにならないほど大きい。これはなかなかの数字だ。国民民主党の躍進が日本の政治状況を変えるような勢いで語られてはいるが、その躍進を支えているのはほぼ男性ということなのだから。