
党本部が反発した泉房穂氏の発言
問題は候補のクオリティーだ。勢いのある政党には立候補希望者は殺到するが、経験が不足していたり、即戦力でなかったりする候補を容易に擁立できるものではない。たとえば参院兵庫県選挙区では、同党兵庫県連は当初、公認候補を立てず、衆院議員の経験もある泉房穂前明石市長を推薦しようとした。改選議席数3の同選挙区では、自民党や日本維新の会、公明党が議席を占め、躍進した昨年の衆院選ですら基礎票がさほど多くはない国民民主党が「当選できる独自候補」を擁立するのは困難と思われたからだ。
だが泉氏が出馬会見で「魅力的な政党がない」と発言したことに、同党本部が反発。もともと本部は泉氏を推薦しない方針だったが、執行役員会で「県連推薦も許さない」と決定。同党兵庫県連は急遽、多田ひとみ氏を立てることになった。
同党は3月に比例区で、海洋学者の山田吉彦氏などの擁立を決定したが、やはり“経験者”が必要と思われたのだろう。もっとも前維新衆院議員の足立氏は当初、参院大阪府選挙区からの出馬を希望していたようで、それは広く知られていた。日本維新の会の馬場伸幸前代表は1月30日にX(旧Twitter)で、「かつて維新の会に所属していた足立やすしさんが国民民主党から参議院の大阪選挙区から出ることが濃厚になったそうです」と投稿したが、それ以前に本人から知らされていた人もいる。
足立氏の大阪府選挙区での公認は当初、4月16日の両院議員総会で承認される予定だったが、その前に開かれた執行役員会で否決されたようだ。産別労組出身の議員が連合の意向を受け、反対したとされている。
山尾氏の公認は、強烈にもめた。比例区での出馬に向けて山尾氏が準備しているのを察知した中日新聞が4月22日の紙面ですっぱ抜き、ネットで大炎上したのだ。