
「選挙を政治家の就職活動にしない」
翌23日の両院議員総会は山尾氏の公認を巡って、紛糾したという。その前に開かれた執行役員会では大きな異議は出ずに通ったようだ。これに対して、同党のある議員は次のように述べる。「根回しもせずに両院議員総会に出せば、もめるのは目に見えていた。にもかかわらず、なぜシレッと執行役員会で(山尾氏の公認を)通したのか。意図的に平場でもめさせようとしたのか」
この日に山尾氏の公認は決まらず、同党は東京都選挙区の牛田茉友氏と奥村祥大氏、比例区の川崎稔氏の3人の公認決定にとどめた。だが、その時点で次のような話も聞こえていた。「最後の最後で、足立氏も山尾氏も、比例区にノミネートされるはずだ。玉木代表も榛葉賀津也幹事長も、経験者をほしがっている」
そして開かれた5月13日の会見。玉木代表は次期参院選の公認候補に対し、党の意向に反した場合は公認取り消しなどの処分や議席を返上する「確認書」にサインをさせることを表明。翌14日、国民民主党は足立氏、山尾氏に加えて須藤氏、薬師寺氏の計4人を比例候補として公認したことを発表した。
同日夕刻、同党が赤坂で行った街頭演説。公認を得たばかりの山尾氏に続き、玉木代表がマイクを握った。
「2020年9月に結党した時のチャーターメンバーのひとりが山尾志桜里さんです。あの時に私たちは2つのことを誓った。ひとつは選挙を政治家の就職活動にしない。たとえ当面の、目の前の選挙に不利であっても、この国の未来にとって必要なことは堂々と言おう、語り続けよう。それが私たちの結党の姿勢です、理念です」
山尾氏は2017年の衆院選で愛知7区から無所属で出馬し、834票の僅差で3回目の当選。しかしその後、地元を顧みず、東京での出馬を模索したが、実現しなかった。さらに議員パスの不正使用と不倫相手の元妻とされる女性の自死報道が追い打ちをかけ、2024年の衆院選ではその名前すら聞かれなかった。次期参院選が彼女の就職活動になるのかどうかは、有権者が判断を下すだろう。
(政治ジャーナリスト・安積明子)
こちらの記事もおすすめ 山尾志桜里議員が語る文春砲「関心の高さが異常。必要以上に脇はしめません」