「練習環境が良くても、選手次第で“宝の持ち腐れ”になる。新庄剛志監督以下、コーチやスタッフの方々がうまくマネージメントして個々のやる気を引き出している。連日、遅くまでトレーニングしている姿があった」(日本ハム関係者)

 阪神の場合はキャンプ地・宜野座村と宿舎が多少、離れており日本ハムのようにはいかない。しかし若手を中心に通常練習以外の時間帯にも宜野座村まで足を運んで、練習に打ち込む選手は少なくなかった。

「記事に出て話題になったが、レギュラー遊撃手・木浪聖也は毎朝5時頃からの早朝ランニングを欠かさない。試合に出ている選手がそこまでやっていれば、一軍当落線上の選手は必死にならざるを得ない。チーム内に素晴らしい競争が生まれていた」(阪神関係者)

「木浪が4時50分に起きた理由」(デイリースポーツ・3月1日)によると、悪天候の日を除いて毎日1日5キロのランニングを欠かさなかったという。主力選手が真摯な姿勢で野球に打ち込む姿はチーム全体に好影響を及ぼす。その木浪でさえ、今季はレギュラー安泰ではないのが阪神の強さの秘密だろう。

「キャンプ地と宿舎が隣接しているに越したことはないが、結局は球団や選手の取り組む姿勢次第。天候のせいにするのは簡単だが、プロなら言い訳は許されない。下位低迷している球団は、天候が良くても練習姿勢が緩くて時間も短かった」(スポーツ新聞野球担当デスク)

 開幕時に太め残りの選手が怪我・故障をしたり調子が上がらないケースは目立つ。エビデンスはなくとも、調整・練習不足を疑われても仕方がないだろう。

「梅雨明けから夏場にかけて選手のコンディションは自然に上がってくる。調子が悪い選手、下位に低迷する球団は、とにかく今は我慢してプレーし続けること。調子が上がった時に取り返しがつく状態でいることが重要」(スポーツ新聞野球担当デスク)

 セ・リーグはヤクルト、パ・リーグはロッテの調子が上がらず、最下位が定位置になりつつある。しかしシーズンは100試合以上残っており、ここから先の挽回も可能だ。毎年のように流れが変わる交流戦も控えており、この先どうなるか全くわからない。

 今春キャンプ時の天候は「ハズレ」だったかもしれない。怪我・故障者が出たことは残念だが、起きてしまったことを振り返っても仕方ない。ここから先、コンディションや調子のリカバリーをしっかりできた球団・選手が最後に笑うことになるはず。プロ野球が面白くなるのは、これからだ。

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