ファンをたきつける“部外者”の存在
女性自身も報告書を読むのに5日間ほどを費やし、そのたびに心が揺れ動いた。復元された中居さんとフジテレビ編成幹部(当時)とのメールのやりとりには特に苦しさを感じ、強い不快感を抱いた。ファンのなかには、ショックのあまり入院した人もいたという。
だが、今回の件で最も傷つけられたのは、言うまでもなく被害女性だ。取材に応じた女性も、「被害女性を批判するファン」の存在を懸念する。
「第三者委員会こそ性犯罪者であるとまで言い切ったファンもいます。無批判に彼が悪くないと思いこむことのほうが楽だと思いますが、彼がテレビで見せてきたのはほんの一面にすぎず、見せていない部分のほうが圧倒的に多い。特に彼はSMAPの中でも自分の話をほとんどしない人でした。トーク番組のMCをすることはあっても、自分がゲストになり話を聞かれる機会が圧倒的に少なかったからです」
また、SNSには、中居さんを信じたいファンを擁護することでフォロワーやインプレッションを稼ごうとする“部外者”も目立ち始めた。それにたきつけられ、発言が過激になっていくファンを見ていると、こんな不安がよぎる。女性は言う。
「被害女性への二次加害はあってはならないし、いつかファンから逮捕者が出るのではないかと心配です」
推しの加害行為を知ったとき、ファンはどう受け止めればいいのか。公認心理師で洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長の伊藤絵美さんは言う。
「予期せぬことや嫌なことが起きたとき、最初からそれを受け入れるのはとても難しいこと。自分が推していた存在が性的な加害行為をしていたと知ることのショックは計り知れないし、ファンにとっては一つの『喪失体験』でもあります。まずは、ただ話を聞いてくれる人に話すことをおすすめします」
カウンセリングのほか、「推し」を想起させない友人に聞いてもらうことも効果的だ。そのとき大切なのは、「感情を否定しない」こと。そのときに抱いた感情そのものを「いい」「悪い」とジャッジせず、「今はそういう段階なんだ」ととらえることが重要だという。