俳優・佐藤二朗さん
俳優・佐藤二朗さん
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 9日放送の「黄金のワンスプーン!」(TBS系・午後8時55分~)は、母の日直前スペシャル。母の日にぴったりな旬の食材で、芸能界を代表するママタレントたちをもてなす。また、日曜劇場「キャスター」(TBS系)に出演中の阿部寛と道枝駿佑に“舘様プロデュース”のお弁当を差し入れ!今回ゲストの阿部が同じく俳優の佐藤二朗に衝撃を与えた言葉で注目を集めた過去の記事を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2023年4月9日に掲載されたものの再配信です。本文中の年齢、肩書等は当時のもの)。

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 個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は枯渇感の正体について。

率直に言う。

なんか、最近、俺、ヌルい。

いや、ありがたいことに、本当に大変ありがたいことに、仕事は順調だ。

俳優としてありがたいお話を頂いたり、現場一丸となってその撮影にのぞんだり、徐々にチームとしての結束が高まっている感じの歴史探偵も、人間以外の役が多いマチスコープも、楽しくやっている。

しかし、なんか、ヌルいのだ、俺自身が。

現在、2月からインしていた映画の撮影が終わり、次の映画が間もなくインするという準備期間なわけだが、もっと、こう、もっと今、俺にできることはないのか、と思う日々なのでありんす。

突然、ドラマ「JIN」での中谷美紀さんの口調のようになってしまったが、なんだろうな、この枯渇感は、と思うのでありんす。

まだあるだろう。まだ出してない俺があるだろう。と、さして根拠はないくせに半ば確信めいてそう思い、焦るのだ。

以前、このコラムで俺は、「この俳優は大体このポジション、あの俳優は大体あのポジション」みたいな、なんとなくのイメージで自身に与えられた「居場所」なんぞ木っ端微塵にしてやる、と威勢よく書いた。

しかし、その大仰な威勢に見合う何かを、俺はしているのか。

「うんこ」の3文字でツイッターをバズらせてる場合ではない。

いやバズったっていい。別に「うんこ」でバズったっていい。反応頂いた方々、ありがとね。

「バズる」という言葉を最近覚えたので使いたくてしょうがないわけだが、とにかく、もっと自分にできることはないのか、と焦燥に駆られる毎日なのだ。

なのに、夜になると「ま、これ以上考えても今日は仕方ないから、呑んじゃお」と酒を呑んでしまうのだ。

今日の晩酌の肴、なにかな。

ちょ待て。まだ昼だ。今夜の晩酌に思いを馳せるにはまだ早い。

「馳せる」と「バズる」って似てるね。

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