東出さんの住む小屋には、蜂の巣ができていた。「1年で亡くなるので、今いる蜂は去年巣立った子どもたちだと思います。実家の思い出をたどってまたここに来るんでしょうね」/撮影・上田泰世(写真映像部)

何としてでも生きていける

――突き詰めるとシンプルなのかもしれません。ただ頭ではそうわかっていても、踏み出せない人たちがいます。

 私も人生のなかでいろんな紆余曲折があったから、こっちに移住ができたので、状況を変えたいけど変えられないという気持ちはよくわかります。

 コンプレックスも悩みも、分解して考えてみたら、少しは見方が変わるかもしれません。「過去に色々あったから今がある」とも思う一方で、最近は今の連続が楽しければいいと考えるようになりました。

 先ばかり見てもわからないということもありますし、過信かもしれないけれど、私は何としてでも生きていけるという自信があるんです。そう思える自力をつけていくことも、社会システムに依存せずにすむ一歩かもしれません。

(構成/AERA編集部・福井しほ、撮影/写真映像部・上田泰世)

山ではわらびや椎茸も育てている。椎茸は乾かしてどんこにするという/撮影・上田泰世(写真映像部)

◯東出昌大(ひがしで・まさひろ)/1988年生まれ。2022年4月に山暮らしをはじめ、俳優と狩猟生活を両立させている。24年8月に松本花林さんと結婚。25年2月に花林さんとの第1子が生まれた。近年のおもな映画出演作に「Winny」(23)や自身を追ったドキュメンタリー「WILL」(24)など

こちらの記事もおすすめ 「役者だけが僕の生きていく術ではない」東出昌大が明かすコンプレックスとの向き合い方
[AERA最新号はこちら]