「老後2000万円問題は、65歳から95歳までの30年間に必要なお金として示されたものですが、人生100年時代と言われるように、人の寿命は着実に長くなっています。同時に、“現役生活”も長くなっています。フルで働かなくても、パートなどでもいいので、なるべく長く働き、少し収入を得ることで、老後資金不足に対処することもできます。一方で、インフレ傾向が強まり、現金の価値が低下していることにも注意しておくべきでしょう。2%のインフレが続くと、10年で物価は約2割上昇し、30年でお金の価値はほぼ半分になる。このことを踏まえて、リタイアする10~15年前から老後プランを考えていくべきです」
健康寿命を延ばす
永濱氏によると、「シニアの労働参加率が右肩上がりを続けており、直近では60代前半でも7割以上が働いているほか、70代以上で見ても10%以上のシニアが働いている」という。
長く働き、長く収入を得ることが、老後資金問題の一つの解決策と言える。
「国民年金は60歳までしか加入できませんが、再雇用等で条件を満たして働けば、厚生年金は70歳まで加入できます。長く働けば、それだけ受け取れる年金は増えるわけです。加えて、年金は受給開始時期を繰り下げるほどもらえる金額が増える。原則として65歳から支給開始ですが、受給は60歳から75歳まで自由に決めることができます。5年繰り下げて70歳から受給すると42%も年金額が増えて、それが一生続くのです」(岩城氏)
このように、健康寿命を延ばして老後に備えるのと同時に、“資産寿命”を延ばすよう努めるべきだという。当然、活用すべきは新NISAやiDeCoだ。