
安定的な皇位継承に向けた皇族数確保をめぐり各党での議論が続く中、女性皇族の存在感が高まっている。4月22日に開かれた両陛下主催の春の園遊会では、62年ぶりに「道筋」が変更されたなか、女性皇族は和装で臨み、招待客への気遣いを見せた。緑豊かな赤坂御苑に映える華やかな装いに注目すると、女性皇族方のお人柄も伝わってくる。
【写真】スタイリッシュ!承子さま「糞掃衣(ふんぞうえ)」調の帯はこちら
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桜が終われば藤の花――。着物や帯、工芸美術品の意匠としても愛される藤の文様。
春の園遊会にふさわしく、皇后雅子さまをはじめとする3人の女性皇族は、優美な藤の着物をお召しだった。
和装といえば、お名前が挙がるのが旧陸奥弘前藩主の津軽家ご出身の常陸宮妃・華子さまだ。お若いころから見事な着こなしで、華子さまの和装にあこがれる人は多かった。
この日は、赤みがかった灰色を指す霞色(かすみいろ)の訪問着。
「藤の花だけの着物を」
華子さまのそんな希望で染め上げられた品だという。薄紫や淡い赤、ほんのりとピンクに染まった藤の花びらが、春の風にそよぐ様が緻密に描かれている。
合わせているは、墨黒色の裏雲取りの帯。菱格子は金銀の箔を重ね、金糸銀糸による手刺繍で中央の菱形を立体的に仕上げた豪華なお品だ。
ここ最近はご年齢や体調もあり、三笠山に一列に並んだあとは、「道筋」での交流は控えることもあったが、この春の園遊会では三笠山から下りた場所で、招待客と交流。
「華子さまのお姿を近いところで拝見しました。品のよい素敵な笑顔を見せていらして、安心いたしました」(招待客の女性)

同じ藤でも伸びやかな枝振りが印象的な着物をお召しだったのは、三笠宮家の寛仁親王妃、信子さま。藤の房と枝が淡い色調で日本画のような訪問着。