
京都市で京友禅の誂えを専門とし、著名人らの顧客も多い「京ごふく二十八」を営む原巨樹(はら・なおき)さんによれば、信子さまが合わせているのは黒地に金の鏡裏文(きょうりもん)が織り込まれた帯。
「鏡裏紋とは魔除けとして神聖視された古い鏡とその裏に草花や鶴亀などの吉祥柄を組み合わせた図柄です」
朱色の文様と玉飾りが差し色となり、全体を締めている。
帯からのぞく組紐と珊瑚のような玉飾は、おそらく帯に挟んだ懐中時計。昨秋の玉飾は、翡翠色をお選びだったが、この春は着物に合わせて朱色に変えるなど細やかな小物使い。
昨年、旭日重光章を受章した森下洋子さんは、皇族方と長年の親交を持つ76歳の現役バレエダンサーだ。信子さまは、三笠山のそばにいた森下さんとも熱心に話をされ、森下さんの手をぎゅっと力強く握り、口元をおさえるほど表情豊かな笑顔を見せる場面もあった。

若い世代の女王方は、昭和を思わせるクラシカルな着こなしを見せることも少なくない。
というのも、高円宮家の長女の承子さまや三笠宮家の彬子さま、瑶子さまは、宮家に伝わる上質な着物をお召しの機会があるためだ。
実際、彬子さまは、さまざまなインタビューやエッセイなどで、「ありがたいことに、小柄な私は妃殿下方からお召し物を譲っていただけることが多い」と、明かしている。
SNSでも、「彬子さまの着物すごく好き」「承子さま 昭和のクラシカルな雰囲気でお似合い」と、好感を寄せる声が並ぶ。
なかでも日本美術研究者として活躍する三笠宮家の彬子さまは、和装の上級者。
『和樂web』のエッセイで、「三笠宮家の血なのだと思うが、なで肩である」「良くも悪くも、私は着物体型であると思う」と、述懐されている通り和装を好まれ、公務や外出でもその都度、明確にテーマを定めて着物や帯の柄行を選ばれている印象だ。