
元タレントの中居正広氏の性加害事件に端を発する“フジテレビ問題”は、フジをめぐる様々な問題を浮き彫りにした。そのフジの因縁のライバルといえば、日本テレビだ。日テレは1980年代末頃から「打倒フジ」を掲げて番組の編集・編成を大幅に見直し、94年にフジから視聴率三冠を奪取するなど、黄金時代を築いた。日テレの編成部で改革を主導し、現在は関東学院大学経営学部教授を務める岩崎達也さんが、混迷を極めるテレビ業界に「提言」を送った。
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フジ問題を機に、視聴率低下をはじめとするテレビ業界全体の不振に改めて注目が集まっている。だが、“テレビ離れ”は今に始まったことではない。
最初の転機は、1995年にマイクロソフトがWindows 95を発売し、一般家庭にもインターネットが普及したことだろう。2010年代に入るとスマートフォンが普及し、「家にいないと見られないテレビ」よりも「いつでもどこでも楽しめるYouTube」が若者を中心に支持されるようになった。さらに2020年からのコロナ禍で、在宅でNetflixなどの本格的な映像エンターテイメントを楽しむ習慣が根付いた。
博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所の調査によると、06年時点では生活者のメディア接触時間(1日あたり/週平均)はテレビが171.8分、携帯電話・スマホが11.0分だった。だが直近の24年はテレビの122.5分に対し、携帯電話・スマホが161.7分と逆転している。
岩崎さんは、日々学生たちと接する中で、テレビ番組が若者にとって「耐えがたいコンテンツ」と化していると痛感するという。