当初は2月22日に再来日の予定だったが、その後、グリーンウェルは「日本での練習中に背中を痛め、医師から3月5日まで旅行を控えるように言われた」として、延期を通告してきた。
「開幕までに来てくれればいいんです」と理解を示した吉田義男監督だったが、その言葉も空しく、グリーンウェルは「腰痛のリハビリに6週間はかかる」という新たな理由で再度来日を延期したため、開幕にも間に合わなくなった。入団時に「えらい奴が来おった」と喜んだファンもさすがに呆れ、「もう帰ってこんでもええ」とさじを投げかけた。
ところがどっこい、4月30日にようやく来日したグリーンウェルは、急落した株を自らのバットで爆上げする。5月3日のデビュー戦、広島戦で3回に中前タイムリー、8回にも右中間三塁打と2安打2打点を記録し、チームの勝利に貢献。虎党も「ほんまもんの助っ人や」と態度を一変させた。
翌4日の広島戦でも、グリーンウェルは3回に右前タイムリーを放ち、前日同様2安打2打点でチームに連勝をもたらした。
5日の広島戦は6対12で敗れたものの、一塁と二塁の間に野手3人を守らせる“グリーンウェルシフト”の逆を突き、3試合連続タイムリーとなる左中間二塁打を記録。5月の3連休3試合で12打数5安打5打点という猛打ぶりに、ファンがさらなる活躍を期待したのは言うまでもない。
だが、“伝説”はわずか3日で終わりを告げる。5月7日の中日戦、グリーンウェルは内野ゴロ3つの3打数無安打に終わると、翌8日の中日戦も4打数無安打とさっぱり打てなくなる。
さらに5月10日の巨人戦も、4打席いずれも走者を置きながら、2併殺打を含む4打数無安打と沈黙。8回の4打席目には、三沢興一の内角スライダーを強振した際に、自打球が右足甲を直撃するアクシデントに見舞われた。
翌11日、都内の病院で打撲と診断されたグリーンウェルは、同日の巨人戦に出場し、4試合ぶりの安打となる内野安打を記録した。しかし、岡山移動後に骨折が判明。13日、緊急帰阪してチームドクターの再検査を受けると、右第二中足骨折で全治4週間と診断された。