
「トランプ関税」が世界を揺るがすなか、米中の“関税戦争”はどうなるのか。トランプ米大統領が中国に対して態度を軟化させるとの報道も出たが、実際にどの関税率に落ち着くのか先行きは不透明だ。在北京ジャーナリストが、中国の反応と中国経済のこれからを読み解く。
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「関税率は60%ぐらいなら想定内ですが、145%とか245%などは、想定外というよりももう貿易を完全に止めてしまうと思わざるをえません」
2025年4月以降、いくつかのフォーラムに出た際、中国の経済アナリストたちは異口同音に話した。
トランプ関税関連の報道は、中国でも絶え間なくテレビやネットニュースから入ってくる。しかし、中国が反撃として出した125%の米国輸入品に対する関税の最終的な行方はわからず、トランプ大統領の極限までの中国への圧力については軟化の報道もある。水面下では何があったか、ニュースからはまったく何も出てこない。
中国のアメリカへの輸出は急減のはずである。2024年を見ると、年間対米輸出は5246.56億ドルで、同年の中国のGDP、18兆7480億ドルの2.79%にあたる。対米輸出の停滞は、すなわちGDPの2.79%が失われることを意味し、中国経済への打撃は小さいとは言えない。
数字で見れば、アメリカのGDPは日本に比べて7倍以上の大きさだが、中米貿易高は中日貿易高のほぼ倍だけだ。アメリカとの貿易はほんとうはもっと開拓していく空間があるはずだと思っていた中国企業は、急に高関税にぶつかり、手も足も出ないのではないかと思われている。
中国の統計を調べてみた。2024年の中米貿易は、前述のとおり、中国からの輸出が5246.56億ドル。輸入は1636.24億ドルであり、中国の黒字が3610.32億ドルだった。
おもちゃや日常雑貨などをアメリカに輸出して黒字を稼いでいるのかと思ったら、そうではなく、中国がアメリカに輸出しているもっとも多いものは機械設備とその部品、原子炉やボイラーなどであり、全体の4割以上を占めていた。おもちゃや衣類などはそれぞれ数%しかなかった。