アメリカから輸入したものは、石油などが大きなウェートを占めており、さらに中国と同様、原子炉、機械などがあわせて2割強で多かった。機械だけだったら1割強となる。機械製品の場合、ほぼ注文に応じてつくられ、いきなりほかの国のメーカーにつくってもらおうと思っても簡単にはできない。しかし、石油はアメリカから輸入しなくても中東諸国、ロシアなどから輸入でき、大豆なども輸入代替国はある。
「アメリカからの3千億ドルの黒字が消えると、中国の生産者、貿易関係者はかなり痛いと感じるが、アメリカは中国からの工業用機械などが入ってこなくなると、同じく経済は停滞していき、私たちよりもっと痛く感じるのではないかと思います」と中国商務部の役人はフォーラムで発言した。
中国からのディールの電話を待っていたトランプ大統領だが、4月はついにその電話がかかってこなかった。関税を60%ぐらいに下げると言っても、中国の反応はないようだ。中国外交部報道官は記者会見の際、アメリカによる一方的な高関税政策を全面的に撤回しなければ、中米交渉はないと繰り返して強調している。
「アメリカからもっと多くのものを買いたいが、ハイテク製品、半導体などもっとも利益率の高いものを売ってくれない。大豆、原油などはいくらでも安く入手でき、アメリカから輸入する必要はない」と商務部の役人は中米貿易高のアンバランスに頭を抱え、解決の道はなかなか見つからない。
日替わりメニューのように米国の高関税政策が変化しているなか、中国はハイテク製品の国産化と国内消費の拡大に猛進している。
トランプ第1期政権以来、中国に対する半導体チップの禁輸政策がどんどん厳しくなってきた。年間4千億ドル以上のチップを輸入していた中国は、2019年以降、半導体の国産化を精力的に行っている。28ナノのチップは、安徽省にある晶合集成(Nexchip)と上海にある中芯国際(SMIC)などの中国企業によって量産化を急いでいる。華為技術(ファーウェイ)などはさらに7ナノへ挑戦している。7ナノチップはファーウェイの携帯に使われているという報道も出ている。半導体分野ではウェハー(基板)や製造設備などの面ではかなり制約を受けているが、国産化によって中国独自の技術、生産体系が形成されつつある。巨大な国内市場があり、企業は半導体関連の投資には躊躇しない。