
「シーズン前半の失敗があったからこそ『2人で滑ることを楽しむ』という初心に立ち戻ることができました。五輪前年に経験できたことにむしろ感謝です」(木原)
「自分たちのやってきた練習は嘘をつかない。2人の練習を信じて、あとは楽しむだけです」(三浦)
表現力の幅広げた坂本
国別対抗戦では、自信を取り戻した2人が力強い滑りでリンクを駆け抜ける。世界選手権は幅が4メートル狭い北米サイズだったが、今回は幅30メートルのフルサイズだ。
「世界選手権では全力で(スケートを)押せなかったけれど、今回は100%以上の力で滑ることができ、オリンピック(同様の)サイズは自分たちに合っていると感じました」
と2人は手応えを実感。総合226.05点で、2年ぶりに自己ベストを更新した。
「ミスがあっても自己ベストが出せたことは大きいです。来季も笑顔でスタートさせたいと思います」(三浦)
また団体戦の応援団長、そして日本女子のエースとして活躍したのは坂本だ。今季は、全日本選手権4連覇を達成。4連覇がかかった世界選手権では、重圧を背負いながらも、フリーは会心の演技で総合2位となった。
国別対抗戦では疲労もたまるなか、ミスを最小限に抑える演技で、ショート2位、フリー3位と、チームジャパンのメダルに貢献した。
「今季が始まる時から『今季と来季は2年で一つと考えて、五輪を最終目標に』と言ってきました。ここが折り返し地点。(2年間の)前半戦で課題をたくさん残して終われたことは、来年への良い課題になりました」
今季は、ジャンプ構成を大幅に変えて試行錯誤。プログラムも、ショートはタンゴ、フリーは「シカゴ」で、振り付けが濃密なものを選び、表現力の幅を広げた。
「来季はジャンプ構成をちょっといじって、ショートの安定感を取り戻したい。あと、もうちょっと落ち着いた曲がいいかな。自分は意外と速い動きが苦手なので、本来のスケートの滑りを出せる曲で勝負したいです」
今季はあくまでも課題を得るシーズン。たくさんの希望を手に笑顔を見せた。
また世界選手権銅メダルの千葉百音(19)も、持ち味の艶やかなスケートを披露。ショート4位、フリー5位と存在感を示し、来季に繋げた。