
洋装も和装も魅力的に着こなされる高円宮家の長女の承子さま。
この春の園遊会では、承子さまも、帯に「粋」な意匠を選ばれている。
身長も高い承子さまは、ふだんから大振りの古典柄や唐(中国)風の髪型や衣装の子どもたちが遊ぶ姿を描いた唐子文様といった難しい柄行も、スタイリッシュに着こなされる。
この日の園遊会では、春にふさわしく朱や白の菊を中心に裾に牡丹が描かれた訪問着だが、前出の原さんは、やはり帯に注目したという。
「お釈迦さまが修行で用いたとされる『糞掃衣(ふんぞうえ)』をイメージされた帯ではないでしょうか」
糞掃衣は、ここ最近注目を集めた正倉院宝物のひとつでもある。ぼろ布を洗い清め、縫い合わせた袈裟を身に着けることで、執着を手放したことに倣ったとも言われる。
原さんは、糞掃衣を織りで表現しモダンに仕上げた帯と古典柄を組み合わせた着こなしに惹かれた、とほほ笑む。
「糞掃衣は用い方が難しいのですが、フォーマルな園遊会でスマート着こなされている。素晴らしいなと感じました」

時間にも交流の人数にも制約がある園遊会でも、招待客と目線が合えば可能な限り足をとめていた承子さまの周りは、明るい笑い声と空気で包まれていた。
今回は、62年ぶりに形式を大きく変更し、皇室の方々が歩く経路を三つに分けた。松山テント周辺は、愛子さまや佳子さま、彬子さまと承子さま方、若い皇族方の「道筋」となったためか人びとが集まり、プリンセス方は大忙しとなった。