テレビ東京で放送中の「ソロ活女子のススメ」(画像はBSテレ東公式サイト)

テレビ放送より先にAmazonで配信

 テレ東ドラマとは真逆の方向性で大ヒットしたのが、23年放送のTBS日曜劇場「VIVANT」だ。緻密なストーリーには、毎回の放送後にSNS上で伏線の考察が飛び交い、2カ月以上モンゴルでロケをしたという映像は視聴者を圧倒した。1話あたりの制作費は相場の3倍以上にあたる1億円とされる。

 VIVANTは、海外展開を意識して作られた「別格」だ。今のテレビ業界に、ここまでの超大作を恒常的に生み出し続ける体力は到底ないだろう。

 そんな中で、最近増えているのが、配信メディアの協力のもとでドラマを作る方法だ。

 NHKエンタープライズが制作した「エンジェルフライト―国際霊柩送還士―」は、23年にAmazonプライム・ビデオで世界配信された後、翌年にNHK BSとBSプレミアム4Kで放送され、今年5月からはNHK総合でオンエアの予定だ。テレビ放送を配信より遅らせる代わりに、Amazonから資金面での協力を受けているとみられ、1話あたりの制作費はVIVANT級の9000万円とささやかれる。

「テレビは長らく“発信者”の立場でビジネスを行ってきましたが、これからは“コンテンツメーカー”として割り切るのも賢い選択だと思います。十分な予算のもとで作品が作れる道ができて、テレビ局にいるクリエイターたちはワクワクしているのではないでしょうか」(カトリーヌさん)

 配信メディアの登場により、テレビ業界に“明治維新”さながらの変革期が訪れている。

(AERA編集部・大谷百合絵)

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