
かつて、月曜の夜は街からOLが消えた
また、配信メディアにはテレビ局のようにスポンサーがついていないケースが多い。大口顧客である自動車メーカーに配慮して、「車で人をはね殺すシーンはNG」といった自主規制を敷く必要もないのだ。制作上の縛りが少ない配信ドラマが、テレビドラマよりもインパクトの強い作品に仕上がるのは当然だろう。
だがカトリーヌさんは、最近のテレビドラマに新鮮味を感じない理由として、テレビ局のマンネリ思考を挙げる。
「テレビドラマの王道といえば相変わらず、恋愛モノか医療モノか法廷モノ。深夜ドラマに至っては、今や不倫か女の復讐劇を描いた作品ばかり。局としては、これまで築き上げてきたセオリーや、最近の成功体験にとらわれているのでしょう。でも視聴者からすると、『テレビは似たような作品ばっかり』というネガティブな印象を抱きかねません」
昭和の時代、人々にとってテレビの中の世界は“憧れの的”だった。「こんなおしゃれな服を着てみたい」「こんな綺麗な部屋に住みたい」といった欲望を喚起した。特に不祥事で揺れるフジテレビの月曜夜9時のドラマ枠「月9」は、ヒット作を量産。“トレンディードラマ”という言葉も登場し、「月曜の夜は街からOLが消える」と語り継がれるまで、若者の心をつかみ、数々の流行を生み出した。
かつては、テレビ局が作るものを視聴者が享受するという“殿様商売”が成り立っていた。だが、配信メディアの普及によって、好きなコンテンツを好きなタイミングで視聴できる時代になった。テレビ局も魅力的な番組を作らなければ選んでもらえなくなったのだ。
配信メディアのオリジナル作品には、時代や国境を超えたあらゆるジャンルが並ぶ。特にNetflixは、女子プロレスがテーマの「極悪女王」やアダルトビデオ業界を描いた「全裸監督」など、地上波が手を出さないような大胆なオリジナル作品を続々と世に送り出している。