NHK放送センター
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 ディズニープラス制作の「SHOGUN 将軍」が昨年、米エミー賞で過去最多の18冠に輝くなど、動画配信サービスのオリジナルドラマが、存在感を高めている。一方のテレビドラマは、メガヒット作を連発していた平成までの黄金時代の勢いを失いつつあって……。“ドラマウォッチャー”のカトリーヌあやこさんに「これからのテレビ局が作るべきドラマ」を聞いた。

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「配信メディアは、テレビとは比べ物にならないほど予算がつく」

 業界関係者たちに話を聞くと、一様に口をそろえる。“プロ視聴者”であるカトリーヌさんも、配信オリジナル作品の豪華さを痛感するという。

「海外ロケのシーンが何度も出てくるなど、映画を撮るような感覚でドラマを作っていると感じる作品が多い。SHOGUNにいたっては、1話に対してNHK大河ドラマ1年分にあたる数十億円の制作費をかけたと聞いています」

 Amazonプライム・ビデオが、日本では過去最大級の予算を投じて制作したとされるのが、昨年、配信された「沈黙の艦隊」だ。大沢たかお演じる主人公が、日本初の原子力潜水艦で反乱、逃亡するという壮大な漫画原作の物語だ。撮影は、海上自衛隊の潜水艦部隊の協力のもと、本物の潜水艦を借りて行った。

 配信オリジナルドラマには、「表現の自由度が高い」という強みもある。カトリーヌさんは、2019年に麻薬取締法違反の罪で逮捕された、ピエール瀧さんを引き合いに出し、こう話す。

「『地面師たち』も『忍びの家』も『全裸監督』も、Netflixのヒットドラマには、ピエールさんが出ている印象です。地上波では一度不祥事を起こした俳優は起用されなくなるのに、Netflixでは独占契約レベルで活躍されている(笑)」

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