NHKで放送された「大奥」(画像は番組公式サイト)

性描写を支える“インティマシー・コーディネーター”

 ただ、テレビドラマにも可能性を広げるための奮闘は垣間見える。カトリーヌさんが例にあげるのが、23年にNHKで放送された、“男女逆転版”の「大奥」だ。

「大奥の制作現場には、俳優が尊厳を守りながら性描写に挑めるようサポートする“インティマシー・コーディネーター”という専門スタッフが入っています。その結果、民放なら躊躇(ちゅうちょ)するような、ギリギリのラインまで攻めた性的シーンが盛り込まれている。インティマシー・コーディネーターは、放送中の大河ドラマ『べらぼう』でも採用されていて、性描写に正面から挑んでいる局はNHKだけだと思います」

 ドラマ作りの手腕とセンスについて、カトリーヌさんが太鼓判を押すのは、テレビ東京だ。

 サラリーマンの井之頭五郎が、様々な飲食店で黙々と食べる姿を描いた「孤独のグルメ」は、国民的ドラマに。その系譜を汲む作品として、江口のりこ演じる、まさに“女版五郎”な主人公のひとり時間を紹介する「ソロ活女子のススメ」も制作されている。温泉に、プラネタリウムに、センベロ居酒屋……。「日本のディープな楽しみ方を学べる」と海外でも人気が出て、台湾では配信後1週間で日本ドラマ視聴ランキング1位を獲得した。現在はシーズン5に突入し、長寿番組として順調に育っている。

「テレ東のドラマはマニアックな世界観が光るものが多く、制作費が乏しくても面白いものが作れることを如実に示しています。テレビ局の生き残り戦略として、個人的には“全地上波テレ東化計画”という方向性を推したい(笑)」

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