2025年4月20日、イースター礼拝に向かうチャールズ国王とカミラ王妃(photo ロイター/アフロ)

皇太子一家に対する不満がくすぶる

 そんな皇太子一家の欠席は、キャサリン妃の体調もあって一定の理解があるものの、思いがけない批判にさらされている。それは、一家がすでにフレンチアルプスにスキー旅行に出かけているからだ。さらに、皇太子とジョージ王子はサッカーの試合を観戦にパリとバーミンガムにも足を運んでいる。

 そのためだろうか、国民たちには「もう十分に子どもたちと遊んだではないか」と不満の声がくすぶる。「イースター礼拝は数時間のイベントで、子どもたちとも一緒だ。礼拝に参加する努力をしてほしかった」などもある。ウィリアム皇太子は、国王になれば英国国教会のトップに就く。「将来の役割を思えば、礼拝を優先させるべきだ」とも言われた。

 だが、ウィリアム皇太子は自身が国王になれば、たちまち激務が始まることをよく知っている。子どもと触れ合う機会は当然減るだろう。「今のうちに子どもとの時間を大切にしたいのだ」と皇太子の“家族思い”を理解する声もある。

 普段は国民の批判はヘンリー王子(40)とメーガンさん(43)に集中するのだが、今回のイースターでは、皇太子が批判されることになってしまった。「このまま自分勝手な行動が続くと、ヘンリー王子と同じになってしまう」とさえ言われている。

ウィリアム皇太子の「国王離れ」

 ただ、エクスプレス(オンライン)によると、イースター礼拝の欠席ばかりでなく、このところのウィリアム皇太子の行動には「チャールズ国王離れ」が見え隠れするという。

 ウィリアム皇太子はこれまで国王と同じ法律事務所と契約していたが、最近になってミシュコン・デ・レヤ法律事務所に変更した。1937年設立の伝統ある法律事務所で、本部はロンドンにあり、650名以上の弁護士を擁している。

 チャールズ国王がかつて、ダイアナ元妃と泥沼の離婚調停を繰り広げたとき、元妃をサポートしたのはこの事務所のメンバーだ。結果として、元妃にケンジントン宮殿への住まいの保証、約25億円という多額の支払い、2人の王子との面会権などをもたらした。王室専門家は、ウィリアム皇太子がチャールズ国王に対して勝利を収めた法律事務所にわざわざ乗り換えたことについて「父への強い反発が感じられる」とコメントしている。

2025年4月10日、ウクライナのリヴィウにあるスーパーヒューマンズ・センターで、戦傷者らと交流したヘンリー王子。ロシアによるウクライナ侵攻以来、英国王室関係者として2人目の訪問となった(photo AFP/アフロ)

招待状すら来なかったヘンリー王子の嘆き

 今回のイースター礼拝欠席も「父の思い通りにはならない」との皇太子の意志の表れなのだろうか。チャールズ国王は、皇太子の希望を尊重して反対はしなかったと伝えられている。それはつまり、英王室内でのパワーバランスが国王から皇太子に次第に移っているからだとささやかれている。

 一方、アメリカに住むヘンリー王子は、アーチー王子(5)とリリベット王女(3)が、イースターの王室伝統の子ども向けイベント、エッグハント(卵探し)に参加できないことに胸を痛めたと言われる。ヘンリー王子は英王室から「招待状さえ来なかった」と怒りと悲しみを友人らに漏らしているそうだ。

(ジャーナリスト 多賀幹子)

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