
ドジャース・大谷翔平選手が真美子夫人の出産に立ち会うため、MLBの産休制度「父親リスト」に入り4月18日(現地時間)から、チームを離れたことが話題になった。大谷は19日には女の子の誕生をSNSで公開。2日間試合を欠場して、チームに復帰した。
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NPBでプレーする選手は「正直、うらやましいなと思いましたよ」と漏らす。
「妻が数年前に第一子を出産したんですけど、遠征中だったので立ち会うことができなかった。一生で特別な出来事だし、妻に寄り添いたいと思いましたが、当時の自分は1軍に残れるかどうかというレベルだったので、チームを離脱してチャンスを失うことが怖かった。メジャーのように『父親リスト』の制度があれば、選手にとってありがたいですよね」
「父親リスト」は2011年にMLB と選手会の同意によって設けられた制度で、出産予定の48時間前から最長で3日間リストに入ることができる。この期間中は代替選手の登録が可能で、3日以上チームから離れる場合は「制限リスト」に移行して家族と過ごし続けることも可能だ。「父親リスト」の期間中には通常通り給料が支払われてメジャーの登録日数にカウントされるのに対し、「制限リスト」の期間中は年俸を受け取れず、ロースター枠から外れるためメジャーの登録日数に加算されないという違いがある。
過去の日本人メジャーリーガーでは青木宣親、川崎宗則、前田健太、田中将大、ダルビッシュ有、鈴木誠也が、妻の出産に寄り添うために「父親リスト」を使っている。とはいえ、この制度がメジャーで導入されてすぐに受け入れられたわけではない。
「シーズン途中に妻の出産を理由にチームを離れることを良く思わない風潮は、米国でも現場やメディアにありました。実際に14年にメッツのダニエル・マーフィーが父親リストを使用した際、地元メディアや一部のジャーナリストから『チームを優先すべき』『プロ意識が低い』と批判の声が上がりました。ただ、この声に対して世論が『家族を大事にするのは当たり前。時代遅れの価値観を押し付けるな』『マーフィーの決断は尊重されるべき。野球より家族を大事にする彼を誇りに思う』と擁護の意見が殺到したことで、風向きが大きく変わりました。今では多くの選手が『父親リスト』を取りますし、復帰した際に『おめでとう』と首脳陣やナインからお祝いの言葉を掛けられるのが日常の風景です」(米国の通信員)