「企業の強み・思い」と「生活者の本音」を重ねていくと、そこには必ず「答え」があります。いい商品・サービスをつくれば必ず売れるわけではありません。たった1つの図を使って、問題を解決する力を身につけていきましょう。新刊『問題解決ドリル 世界一シンプルな思考トレーニング』より、カーシェアビジネスのケースを紹介します。
本連載は、Q&A方式で展開します。1ページ目:質問、ヒント、2ページ目:答え、重ねる技術、企業の強み・思い、生活者の本音、重なりの発見の解説を順に掲載。
「企業の強み・思い」――自社では気づいていない独自性やポテンシャルを発見しましょう。また、社内の常識が邪魔をしてやりたいことができていない本来の思いを再発見することが大切です。
「生活者の本音」――生活者は言葉にしていないだけで、実はまだ満たされていない欲求があります。その不安や不満を発見しましょう。
上記をたよりに、質問からそれぞれを考えてみてください。2つを重ねていくことで、答えが導かれます。求められる答えは、2ページ目冒頭の画像をクリックすれば表示され、問題解決のポイントをあわせて読むと、より理解が深まります。
●質問
「参入は簡単だが、事業化は困難」といわれているカーシェアリング業界。そこにパーク24は、後発ながら参入し、大手オリックスなど数あるカーシェア事業者を寄せつけず、黒字事業へと成長させています。
いったいなぜ、パーク24のカーシェアビジネスが、今までカーシェアを使っていなかった人たちにまで受け入れられたのでしょうか?
●ヒント
カーシェアを使うときに、面倒に感じていたこととは?
→答えは、写真2です。
●重ねる技術:虫の目で事業を詰める
違いをもたらすのは、小さい違いにすぎません。ただ、その違いが大きいのです。日本では2002年からカーシェアビジネスが始まっていましたが、ニュースでたまに見る程度。「周りで使ってるよ」という人はほとんどいませんでした。
なぜか?それは「シェアする文化が日本に馴染まなかった」などという小難しい話ではなく、「借りたいときに近くで借りられなかった」からです。
カーシェア業者は日本全国に普及させるために、あちこちにカーシェアスタンドを作りました。しかし、それが裏目に出て、借りづらさにつながったのです。
事業計画的には「全国展開します!」のほうが美しいのですが、使う側からしたらどうでしょうか。当然全国にあるより、自宅近くにあってほしいわけです。
鳥の目で事業計画を作ってしまうと、「全国にカーシェアを展開すること」を目的にしてしまいがちですが、虫の目でユーザーの視点から考えると、「全国にあるけど借りづらいより、自分が借りやすいこと」のほうが重要です。
大局的な視点は持ちつつも、使い手の視点で事業を詰めていくことが成功のカギとなります。
●企業の強み・思い:駐車場ビジネスの成功からさらに発展したビジネスへ