ファンの予定を思いながらも寂しい気持ちもある…4月13日、誰もいなくなったレーンに佇む相川さん(本人提供)

しんどい気持ちはあるけれど「幸せなこと」

「気持ち的にしんどいところはもちろんあるけれど、寂しい気持ちが大きかったわけではないんです。私のことをすごく愛してくださるファンの方が来てくれていて、私が寂しくないように時間内に何回も会いに来てくださって、私が立っている40分は私が寂しくないように、その場にいてくださって同じ時間を過ごしてくださる。それはとても幸せなことだなと思いました」

 翌13日は、「本日の握手会、ヲタク約10名! 沢山いて嬉しい!!!」として、前日の男性のほか、約10人が握手会のレーンに集まり、手を振っている写真をポストした。

「Xを見て来てくださった方もいましたし、私がTeamSのリーダーになったので、『うちの子をよろしくお願いします』とほかのメンバーのファンの方も来てくださいました」

 そして、こうも言う。

「皆さん仕事とか学校とか大事な予定があるなかで、お金と時間をかけて会いに来てくれている。都合が悪くて来られなかった方もたくさんいると思うから、私の投稿で複雑な思いになった人もいると思う。本当に一人一人が大切で、力をいただいていることを伝えたい」

自身の原点も「握手会」

 実は相川さん自身がアイドルになるきっかけも、「握手会」だった。

「小さいころからAKB48が好きで、家でコンサートのDVDを見ては、ほうきをスタンドマイクにして歌って踊っていました。初めて握手会に参加したとき、メンバーとたった数秒、話しただけなのに、そこから3カ月はなんでも頑張れたし、元気でいられた。『アイドルってすごいな』『こんなに力をくれるんだな』『私もそんな人になりたい』と思ったことがきっかけでした」

 2015年、11歳でSKE48に加入した。アイドルとして自分が握手する立場になって、改めて思う。

「CD1枚で数秒間、そのわずかな時間のために会いに来てくださる方がいる。それはありがたいことですし、私自身、直接会って少しでもファンの方に恩返しできたらと思っています」

「危機感」を「伸びしろ」に

 SKE48に加入して11年目。グループ60人のうち、先輩は4人だけで、21歳にしてベテランだ。

 どこかで「危機的状況」を感じている自分もいる。SKE48の立つステージは以前より小さくなってきたと思うし、「推し活」が多くの人に広がり、活動するグループも増えたと思う。

 時代の移り変わりもある。SNSでの相互交流が盛んになり、数少ないコミュニケーションの場だった「握手会」に来る人も少し減ったように思う。

「落ち込んではいません。むしろ、今の状況は伸びしろだと思っているんです」

 状況を「ポジティブ」に受け止める。内面的に転機が訪れたのは昨年だった。

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